映画「ドライブ・マイ・カー」 あらすじ

ジャンルを問わず一年中、映画漬けの生活を送っている、自称ゆるーい映画オタク⁉の私が

独断と偏見でオススメする、ヒューマン映画「ドライブ・マイ・カー」のあらすじ です。

 

 

以下は、詳しいあらすじです。 ネタバレが嫌いな方は読まないで下さい ネ。

あらすじ

 

 

ー 家福と音 ー

引用元:ドライブ・マイ・カー / © 2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

 

夜明け前、ベッドから起き上がった裸の家福 音(おと)は、山賀という男の家へ空き巣に入る女子高生の話しをはじめる。 

 

山賀に思いを寄せるその女子高生は体調が悪いと言って早退し、山賀の授業中に家に忍び込み、彼の部屋に自分が来た証をひとつずつ置いていくというものだった。

 

音 の話を聞いていたのは、同じベッドで横になっている俳優で舞台演出家の家福 悠介であった。

 

翌朝。 夫の家福は、愛車の赤いサーブ900ターボを運転しながら助手席の 音 に昨晩、音 が話していた内容をそっくりそのまま話して聞かせる。 それを彼女は忘れないようにメモをしていた。 

 

音 はテレビドラマの脚本家で、その話をヒントにしてドラマの脚本を考えていた。

テレビ局に 音 を送っていった家福は、そのあと自分の仕事場へと向かった。

 

2人には娘がいたが、幼いころ肺炎で亡くしてしまった。 それ以降は2人だけで暮らしている。

 

夫婦の間には、長く続く2人だけの習慣があった。

ひとつは、家福がセリフを覚えるとき、相手役のセリフ部分だけを 音 がテープに録音し、それを自分のセリフで答えながら台本を覚えていく習慣で、運転するときにそのテープを流し身に染みこませていた。

 

もう一つの習慣は、夫婦のSEXの最中に 音 が頭に浮かんだ物語を語り、家福がそれを覚えていて、それを 音 の脚本作りに活かすことであった。

音 は、そのおかげで脚本家としてデビューしたのだ。

 

家福は現在「ゴドーを待ちながら」という舞台を演じており、それを観に来ていた 音 は自分のドラマに出演する若い俳優の高槻 耕史を家福に紹介する。

そのさい高槻は、家福の多言語演劇に感動したと話す。

 

ある日、家福はウラジオストックの国際演劇祭に審査員として招待されたため、朝早くに家を出る。

車を運転しながら、チェーホフの戯曲「ワーニャ伯父さん」のセリフをいつものようにテープを聞きながら、セリフの練習をしていた。

 

成田空港に到着したとき、現地の事務局から天候不良でフライトがキャンセルになったので渡航が1日延期になったと連絡が入った。

家福は、あえてホテルに泊まるまでもないと思い、家に戻ることにした。

 

家に戻ると、音 は居間のソファーで誰かと激しく抱き合っていた。

 

それを見た家福は、黙ってそのまま家を出て空港近くの部屋をとり、ウラジオストックに着いたように装い、いつも通りの言葉で 音 に連絡を入れる。

 

家福は、これまでの夫婦生活を守ることを優先させたのだ。

音 は家福に情事を目撃されたことを知らず、家福も自分が知っていることを明かさなかった。

 

今日も家福は、自分が運転する車の中で「仕方がないの、生きていくほかないの。 長い長い日々と、長い夜を生き抜いていきましょう」というチェーホフのセリフを聞き続ける。

 

1週間後、ウラジオストックから帰国した家福は、運転しているときに交差点で交通事故を起こしてしまう。 ケガは大したことはなかったのだが、精密検査を受けたさい左目が緑内障になっていることが判明する。

 

後日、家福は妻の 音 に運転をしてもらい、娘の法事に行く。

音 が家福に「もう一度子供が欲しかった?」と聞くと、家福は「分からない。 死んだ娘の代わりにはならない」と話した。

 

その夜、2人は身体を重ねる。 音 は、先日の山賀の空き巣に入る女子高生の話の続きをはじめる。 唐突に、彼女は前世がヤツメウナギだったことを思いだし、禁じていた自慰行為をはじめる。 すると突然誰かが玄関から入ってくる・・・という話をする。

 

翌日、家福が仕事に出かけるとき、音 が「今晩、帰ったら少し話せる?」と話してきた。 その夜、帰宅した家福は、暗い部屋のソファーの後ろで倒れている 音 を発見し、急いで救急車を呼んだ。

 

しかし、意識が回復しないまま 音 は、くも膜下出血で帰らぬ人となってしまった。

家福は、最後の別れを交わすことができなかった。

 

幸せそうに見えた夫婦だったのに、妻の 音 には凄い秘密がありました。

彼女はなぜ、他の男と身体を重ねるのだろうか。

夫を愛しながら、夫を裏切っていた 音。

音 の秘密を目撃した夫 悠介だが、その彼女は秘密を残したまま亡くなってしまう。

主人公の苦悩と葛藤が伝わってきます。

 

ー 広島国際演劇祭 ー

引用元:ドライブ・マイ・カー / © 2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

 

あれから二年後。 

「ワーニャ伯父さん」でワーニャを演じた家福は、名声を得てその後、舞台演出家となっていた。

 

広島で行われる国際演劇祭へ招聘(しょうへい)を受けた家福は、この演劇祭で広島に長期滞在して演出を務めることとなった。

 

自分で愛車のサーブを運転して広島まで行く家福。

 

演劇祭の事務局から、仕事場と宿舎の車での移動には専属のドライバーを用意すると言われる。 

 

扱いにくい車だからと断ろうとする家福だが、過去のイベントで交通事故を起こした者がいて、それ以来事故のトラブルを避けるため、ドライバーを用意する決まりになっていると言われる。

 

やってきたドライバーは、渡利 みさきという若い女性だった。

家福は、みさきの運転を確認するため宿舎まで自分の愛車を運転してもらうと、彼女は安全運転で、揺れの少ない安定した運転をした。

 

後部座席に座る家福は、みさきにテープを再生してくれと頼む。

みさきは、よけいな話をすることなく、黙って運転をした。

無口で何も詮索しようとしないみさきに、家福は好感を抱く。

 

翌日から、演劇祭の出演者のオーディションがはじまる

各国から選ばれた俳優たちが、それぞれの役を自国語で演じながら「ワーニャ伯父さん」を上演する。

 

オーディションには日本のほか、台湾、フィリピンなど各国から俳優が集まり、韓国から参加したイ・ユナは、耳は聞こえるがセリフは手話を使う俳優だった。

 

また、音 から以前紹介された、高槻も受けに来ていた。 高槻は、オーディションの告知を見て、即座に応募したのだという。

 

家福は、あのとき目撃した 音 の情事の相手が高槻ではないかと疑っていたが、高槻への感情を押し殺して、ワーニャ役に高槻を選出する。

 

また、ソーニャ役に手話を使うイ・ユナを、エレーナ役には台湾人女性のジャニス・チャンがそれぞれオーディションで選ばれた。

 

配役が決まると今度は、俳優を集めてそれぞれ自国の言葉で話す多言語での稽古がはじまる。 台本を棒読みで読み上げる稽古に、俳優たちは戸惑いながらも、しだいにお互いの感覚が鋭敏になっていくのを感じていた。

 

瀬戸内の島の宿舎から、みさきの運転するサーブで家福は劇場へ通い、車内では「ワーニャ伯父さん」のテープが流される日々がはじまるのだった。

みさきは、いつも黙って聞いていた。

 

みさきには、家福が愛車を大事にしていることに気づいていた。

待機している間は外で必ず待っていたし、みさきは喫煙者だったが、もちろん決して車内で吸うことはなかった。

 

家福が「落ち着かないから、遅くなるときは車内で待っててくれませんか」と頼むと、みさきは「寒いときだけは」とこたえた。

 

稽古が終わったある日、高槻が家福に「一緒に飲みませんか」と言い、高槻が宿泊しているホテルのバーで飲むことにした。

 

高槻は、複数の女性とのスキャンダルを暴かれたことが原因で芸能事務所との契約が破棄され、現在はフリーで活躍しているとのことだった。

しだいに高槻は、音 と親密であったことをにおわせ、音 に恋をしていたと話し出す。

 

そんな高槻はスクープに敏感になっており、シャッター音が聞こえ、写真を撮った男に反射的につかみかかるが、家福に制止される。 会計を済ませた家福に高槻は「音 さんに導かれてここにいる。 自分は幸せだ」と伝える。

 

稽古では、相変わらずセリフの棒読みばかりが続く。 エレーナ役のジャニスが「私たちはロボットじゃない」と言うが、それでも家福は彼らに台本を読むだけを強いた。

 

その日は、主催者側の事務局員のコン・ユンスがインタビューを絡めて、家福を夕食に誘う。 自宅には、ソーニャ役を射止めたイ・ユナが待っていた。 イ・ユナは、コン・ユンスの妻だった。

 

オーディションへの影響を避けるため黙っていたことをユンスは詫びた。 元ダンサーだったユナは、ユンスとともに3年前に釜山から広島にやってきたと話す。

 

家福とみさきは、ユナの手料理をごちそうになり、4人で夕食を楽しんだ。

 

ユナにとって言葉が伝わらないのは普通のことだったので、多言語演劇はチャンスだったと彼女はほほ笑みながら話した。

 

ユンスは、みさきの運転についてたずねると、家福は「車に乗っていることを忘れるくらい素晴らしい」と話す。 みさきは、恥ずかしそうにユンス夫婦の家で飼われている愛犬を撫でる。

 

あれから二年、失意の家福さんは、どんな気持ちで耐えてきたのだろう。

演劇の「ワーニャ伯父さん」に、出演者としてではなく演出家としてたずさわっているのは、きっと妻を失くしたことが原因なのでしょうね。

それだけ最愛の人を失ったこと、そして彼女の秘密が分からないままなのも大きく影響しているのでしょう。

家福さん、沼にハマったままです。

きっと真面目な方なんでしょう。 2年間じゃ、気持ちは切り替えられませんもんね。

 

ー 三人の物語 ー

引用元:ドライブ・マイ・カー / © 2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

 

ユンス夫婦宅からの帰り道、車内でみさきが稽古を見てみたいとつぶやき、続けてテープの声が好きです、と話す。

それに家福が「それはぼくの妻だ」と答える。

 

今度は家福がみさきに、どこで運転を覚えたのかを質問してみると、みさきは淡々と話しはじめる。

 

「北海道の上十二滝村(かみじゅうにたきむら)の出身で、母ひとり子ひとりの家庭で育ちました。 札幌で水商売をする母を最寄りの駅まで送っていくため、中学の頃から無免許で運転をしていました。 送迎の往復2時間の道のりは、母の貴重な睡眠時間だったので、揺れると蹴られます。 母を起こさないような運転を心掛けたおかげで、自然と運転が上手くなりました。 母から運転を教えてもらったことに、感謝しています。」

 

翌朝、いつものようにみさきが家福を乗せて運転していると、高槻がエレーナ役のジャニスを助手席に乗せて走る車を家福が目撃してしまう。

2人が一夜を共にしたことは、一目瞭然だった。

 

高槻は見られたことに動揺して、別の車に接触事故を起こしてしまった。

その影響で、高槻とジャニスの2人は、稽古場に遅刻をしてしまう。

メインの2人が不在だったため、本読みではなく立ち稽古が行われていた。

 

稽古の帰り際、家福を追いかけてきた高槻が謝罪すると、家福が「分別を持ってくれ」と注意をする。

 

高槻のことで、家福は気分がむしゃくしゃしていた。

気分をまぎらわすため、みさきに何処でもいいから走らせてくれと頼む。

 

みさきは、彼を中工場(ゴミ処理場)へと連れて行く。

風が抜ける造りのその建物は、平和記念公園と原爆ドームを結ぶ「平和の軸線」をふさがないように設計されていると、みさきは説明する。

 

みさきは、クレーンで運ばれるゴミを見て「ちょっと雪みたいじゃないですか」と言い、先日の身の上話の続きを話し出す。

 

五年前、みさきの実家の裏山が、大雨で土砂崩れを起こし、その事故で母を亡くしてしまった。

 

その少し前にみさきは、18歳の誕生日を迎えて正式に運転免許証を取得しており、母の葬儀のあと車に乗り、あてもなく西に移動してきた。 広島で車が故障してしまったので、この土地の清掃局でドライバーとして働き始めた、とみさきは話す。

 

さらに、苗字の渡利は、父の姓が広島や島根に多いらしいが、その父は生きているか分からないと、彼女は続けて話した。

 

その話を聞いた家福は、みさきが現在23歳なのかと確認をする。

 

家福の苗字が珍しいとみさきが話すと、家福が口を開く。

テープから聞こえる妻の名前は 音 と言い、彼女は自宅で二年前くも膜下出血によりこの世を去ったと、みさきに話す。

 

そして家福は、みさきに舞台稽古を見せると約束する。

この日は気分転換をかねて、家福は役者たちを連れて外の公園で稽古をすることにした。 みさきも端で、その稽古を見ている。

 

その夜、家福の車に高槻がやってきて、話がしたいと言ってきた。

ひそかに妻と寝ていたかもしれない相手だったが、家福は了承する。

 

高槻の車は、先日の事故で修理中なので、家福の車の後部座席に2人並んで、場所をバーに移動して2人は酒を飲みはじめる。

 

高槻は、今日のジャニスとユナの芝居について質問をする。

そして、なぜ家福がワーニャ役を演じないのか、自分がワーニャ役にふさわしくないのではと悩みを吐露した。 その質問に家福が答えていると、近くでシャッター音が聞こえる。

 

その後、高槻が先に店を出て、みさきと言葉を交わしていると、一人の男が店から出てきてまた高槻の写真を撮って逃げていく。 高槻は、その男を追いかけて行くがほどなくして戻ってくると、家福の車に乗り込み3人はその場をあとにする。

 

その車内で家福は、自信を失っている高槻に 音 の話をはじめる。

 

自分と 音 の間に、生きていれば23歳になる娘がいたこと、女優をやめしばらくして突然物語を書きはじめたこと、それは自分とのSEXの最中に語られ、改めて2人で話し合うことで物語が完成することなど。

 

これらは、娘の死を乗り越えるための、家福と 音 との絆でもあった。

 

家福は、音 には別に関係を持った男が複数いることも高槻に話した。

妻の中には、ドス黒い渦のような場所があったが、彼女を失うことが怖くて聞くことができなかったと話す。

 

そして、かつてワーニャ役で名声を得ながらも、俳優としてのキャリアを続けられなかったのは、チェーホフの戯曲が要求する「自分を差し出すこと」に耐えられなくなったからだとさらに話した。

 

それを聞いていた高槻は「音 さんは聞いてもらいたかったのではないでしょうか」と返した。

 

そして自分が 音 さんから聞いた「空き巣の女子高生」の話を語りはじめる。 それは、音 が家福とのSEXの時に語った物語の続きだが、家福が知っていたよりも陰惨で不思議な内容であった。

 

「玄関から入り階段を上がってきたのは、もう一人の空き巣だった。 半裸だった女子高生を見て、その空き巣は彼女を強姦しようとする。 必死で抵抗する彼女は、ペンで男の左目を刺し、他の何カ所もペンを突き立てて殺してしまう。 死体を今日の証として残し、シャワーを浴びて彼女は帰る。 しかし、翌日の山賀は普段通り変わりなく、彼の家も変わった様子は見当たらなかった。 唯一の変化は、玄関に監視カメラが付いたことと、植木鉢の下のカギがなくなっていること。 彼女は監視カメラに向かって、わたしがころした、わたしがころした、わたしがころした、と話した。」

 

「これで終わりなのか、先があるのかは分からない。 ただ、大事なものを受け渡された気がして・・・」と高槻は、音 から聞いたその物語をみさきが運転する車の中で、家福に向かって語り続ける。

 

高槻を降ろしたあと、家福は助手席に移動する。 みさきは家福に、高槻が嘘を言っているようには聞こえなかったと話した。 嘘ばかりつく人の中で過ごしてきたから分かる、それを見抜けないと生きてはいけなかったから、とみさき。

 

家福はみさきにタバコをすすめ、2人はタバコに火をつける。 サンルーフを開けて、2人でサンルーフから手を出してタバコの煙を外に逃がした。

 

音 の情事の相手かもしれない高槻と近くで接する家福の心境とは。

探りを入れるために、あえて近づいたのだと思います。

 

お互いの身の上話をすることで、家福とみさきとの距離が近くなってきました。

しかし、空き巣に入る女子高生の話は、突拍子もない話すぎて、・・・です。

 

ー 北海道へ ー

引用元:ドライブ・マイ・カー / © 2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

 

演劇祭の準備期間が終わり、劇場のステージに場所を移して最終稽古がはじまる。

迫真の演技に、家福は観客席からマイクで「高槻、良かった」と声をかける。

 

すると数人の男たちが劇場内に入ってくる。 彼らは広島北警察署の刑事で、高槻から事情を聞きたいとのことだった。

 

家福とバーで飲んだ日、写真を撮った男性を追いかけた高槻はその男性を殴ってしまった。 その男性は意識不明のあと、昨日病院で死んでしまったそうで、高槻は罪を認め家福に深々と頭を下げると、連行されていった。

 

公演間近なので、公演をどうするかの選択をしなければならない。

中止するか、家福がワーニャを演じるか。 家福は固辞するが、公演中止の決断もできない。

 

2日間の猶予がユンスから与えられる家福。

家福はみさきに、君の故郷の上十二滝村を見せて欲しいと頼む。

 

2人はサーブで、北海道をめざす。

ひたすら北をめざして。

道中、みさきは「運転が私の仕事だから」と家福にハンドルを渡さなかった。

 

みさきは、土砂崩れで半壊した家から這い出したとき、母を助けなかったと告白をする。 その後の再度の土砂崩れで家は全壊し母を亡くしてしまったと。

 

自分の傷を指さし、事故の時にできたもので消せるのだけれど、消す気になれないとみさきは話した。

 

家福もまた、音 が亡くなった日にもっと早く帰っていれば、違う結果になったかもしれないと話す。 その日、決定的な話、たとえば別れ話をされるのを恐れて、なかなか帰れなかったことを打ち明ける。

 

「君は何も悪くない、とは言えない。 君は母親を殺し、ぼくは妻を殺した」

 

フェリーで仮眠をするみさきに、家福はコートをかけ、自分も壁にもたれかかる。テレビから、高槻が逮捕されたニュースが流れていた。 

 

途中、直売所で花束を買った2人は、ようやく上十二滝村に着く。

みさきの家のあった場所を訪れる。

 

そこでみさきは、母にはサチという8歳の別人格がいたと話しだす。 

それは、たった一人の友達だった。 母が亡くなったとき、サチに会えなくなることが辛かったと。 

 

みさきは、雪の上に花を一本ずつ投げ、タバコに火をつけ線香のように雪の上にさし、地獄のような現実を生き抜くための知恵だったのだろうと話した。

 

家福は「ぼくたちは正しく傷つくべきだった」と言う。

続けて、音 が男性と関係を持っていると知ったとき、見ないふりをするのではなく、自分自身に耳を傾けるべきだったと言った。

 

「音 に会いたい、怒鳴りつけたい、問い詰めたい、あやまりたい、帰ってきてほしい。」「会いたい、会いたい、会いたい・・・」

 

みさきは、包み込むように家福の身体に手をまわし、家福もみさきを抱きしめる。

 

舞台でワーニャを演じている家福を、客席から見つめているみさき。

舞台では、ソーニャを演じるユナに、ワーニャが優しく抱きしめられている。

 

・・・みさきは、韓国のスーパーで買物をしている。

買物を終えたみさきは、赤いサーブに乗り込むと、後部座席からユンス家にいたようなゴールデンレトリバーが出迎える。

 

以前よりも表情の明るいみさきと車は、真っ直ぐな道を快調に走っていく。

 

家福は、深い淵からやっと這い出すことができました。

そして、みさきも。

 

観た方それぞれの想像に任せることになりそうな、ラストシーンの解釈は悩みどころです。

情緒的で小説を見ているような映画、いかにも村上 春樹の作品で、自分には少々難しい映画でした。

 

引用元:ドライブ・マイ・カー / © 2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

 

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